千葉県木更津市請西南のお花屋~フラワーショップ「エールフラワーズ」。 お花農家や市場より直送された品質のよい花々をお客様のお手元へ

2012.12.13

「クリスマスの貴婦人たち シクラメン・ポインセチア」

フラワーエッセイ

この時期、クリスマスの花屋は赤く彩られる。
目立つ花といえばやはり、シクラメンかポインセチアあたりである。
クリスマスに赤い花が売れるということは、どこかサンタクロースのコスチュームを連想させるのだろう。一見すると眼に鮮やかで、クリスマス飾りの一部のようにすら見える。
だが、冬に咲く花は陽気さの中にも厳しさや凛々しさがある。

◎ ◎ ◎

 シクラメンはクリスマスシーズンに限らず、鉢花の中でも最も有名な部類の花である。
また、豚饅頭に篝火花(かがりびばな)という奇妙な別名も持つ。
赤い品種が多いので、篝火花はなんとなくのイメージに合うが、なんで豚饅頭?
と思ったて調べてたら、球根を豚(猪)が食べるから、ヨーロッパでは『ブタのパン』と呼ばれていたそうな。
それを翻訳したら『豚の饅頭』もしくは『豚饅頭』になったという……あまり、優雅さのない由来であった。せめて、『ブタのパン』のままなら、かわいかったかも知れない。
 シクラメンに関してはもう一つ有名なエピソードがある。
その昔、ソロモン王(古代イスラエルの王で、魔法使いとしても有名)が王冠のデザインに花を使おうと思い、色んな花々に交渉したが、全て断られてしまった。
そして、唯一、OKしてくれたのが、シクラメンだったという。
そこでソロモン王がお礼をいうと、この花は恥ずかしさのあまり、はにかんで、うつむいた。
 そのせいか、シクラメンの花言葉は「内気・はにかみ」となったという。

         ◎ ◎ ◎

クリスマスが近づくとシクラメン以上に眼につくのは、真っ赤なポインセチア。
猩々木(しょうじょうぼく)という中国っぽい別名がついているが、見るからに熱帯の花である。
いくらサンタっぽい色とはいえ、南国の花をクリスマスの贈り物にするのはなぜ……?
 と、不思議に思ってこちらも調べてみたところ、原産地はメキシコだった。
十七世紀に宣教師達によってクリスマスの頃に誕生祭で飾られ、その後、外交官ポインセットによってアメリカに持ち込まれたことから、「ポインセチア」という名がついたという。

◎ ◎ ◎

うつむきがちに咲くシクラメンは内気な花としてヨーロッパを中心に広がった。
一方、南国的なポインセチアはアメリカ中心に育成され、共に代表的な鉢花となった。
どちらも花期が秋から春までと長い。
管理のコツは「暖房をかけ過ぎない」という点である。
乾燥と高温には弱いため、暖房の弱い窓辺に置き、土が乾燥したら水を与える。水を張った皿の上に鉢を置いてもいい。
とにかく寒過ぎるのもダメだが、暖房のかけ過ぎは鉢花に多大なダメージを与える。

◎ ◎ ◎

病弱なお嬢様のことを小説などでは“深窓の少女”とよく呼ぶが、冬に咲く花々はさながら“深窓の貴婦人”である。
気温が合わないと、すぐに葉の色を変えてしまう。だが、こまめに世話をすれば長く花をつけていてくれるだろう。こうした花々は窓辺に飾るのこそ、ふさわしい。

内気なシクラメンか、陽気なポインセチアか? 
このクリスマス、あなたの窓辺を飾る貴婦人はどちら?

                 シクラメンの花言葉……「はにかむ・内気」
                 ポインセチアの花言葉……「祝福する・清純」

参考文献
「FIELD GUIDE15 園芸植物 鉢花と観葉植物」
 解説:長岡求・小笠原誓 写真:植原直樹・中島隆 小学館
「想いを贈る花言葉 ちいさな花物語」 監修:国吉純 ナツメ社 

                                  (了)

最新記事Recent

以前の記事Archives

アーカイブ